DRMは無形サービスだけでなく有形商品にも適用可能で、カルディの試飲や東進の無料模試、化粧品サンプルの実例が示すように無料オファーと価値提供を軸に長期的関係を育てることで購買とリピートを促す有効な戦略となる
- 有形商品にもDRMは適用可能
- 無料オファーと教育提供で関係を育てる
- デジタルとアナログの組み合わせが鍵
- 継続的な改善と長期視点が成功の要
- カルディ店舗数501店舗(2024年12月現在)
- 日本の化粧品市場規模約2.6兆円(2023年)
こんにちは、Room8オーナーの鶴田です!
今日はダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)について書こうと思うんですが、これがまた面白い誤解というか、思い込みが蔓延してましてね。
「DRMって無形のサービス向けでしょ?コンサルとか情報商材とか。うちは製造業だから関係ないよ」
「有形商品は店頭で売るのが普通。DRMなんて必要ない」
…って、ちょっと待った。
その思い込み、もしかして機会損失してませんか?実は僕、最近気づいたんですよ。街を歩いていると、有形商品を扱う企業が知らず知らずのうちにDRMの手法を使っていることに。しかも、めちゃくちゃ巧妙に。
今日はその「実はDRMだった」事例を3つ紹介しながら、有形商品こそDRMの本領を発揮できる理由を解説していきます。読み終わる頃には「うちでも応用できるかも」って思えるはずです。
そもそもDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)って何?
まず基本から。DRMって一体何なのか、改めて整理しておきましょう。
神田昌典さんが日本に広めたこの手法、簡単に言うと「お客さんからの反応を取りながら、段階的に関係を構築して販売につなげる」マーケティング手法です。
従来の広告との違い
従来の広告(イメージ広告):
- ブランド認知度アップが目的
- 効果測定が困難
- 「なんとなく覚えてもらう」
DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング):
- 明確な反応(行動)を求める
- 効果測定が可能
- 「具体的な行動を起こしてもらう」
DRMの基本プロセス
- 集客:魅力的なオファーで見込み客の連絡先を取得
- 教育:価値提供しながら信頼関係を構築
- 販売:適切なタイミングで商品・サービスを提案
このプロセス、実は業界や商品の形態に関係なく応用できるんですよね。
神田昌典さんが1990年代に提唱した時代から20年以上経って、デジタル技術の発達で手法はアップデートされてるけど、本質は変わっていません。「お客さんとの関係性を大事にしながら、段階的にアプローチする」。これがDRMの核心です。
「DRMは無形サービス向け」という誤解の正体
なぜこんな思い込みが生まれたのか。理由を考えてみました。
誤解が生まれる3つの理由
1. 成功事例が無形サービスに偏っている
DRMの成功事例として紹介されるのって、確かにコンサルティング、セミナー、情報商材、オンライン講座が多いんですよね。これらは:
- 在庫を持たない
- 粗利が高い
- 繰り返し販売できる
だから、DRM的なアプローチのコストを吸収しやすい。でも、これって「向いている」だけであって「専用」じゃないんですよ。
2. 「売ったら終わり」の商習慣
有形商品、特に製造業や小売業って「売ったら終わり」の文化が根強い。でも、これって本当にもったいないと思うんです。
売った後こそ、お客さんとの関係構築のチャンス。リピート購入、アップセル、クロスセル、紹介…可能性は無限大なのに、多くの企業が「販売完了」でシャットダウンしてしまう。
3. デジタル活用への抵抗感
「うちは昔ながらの商売だから」「デジタルはよくわからない」
この気持ち、わからなくもないです。でも、DRMって別にデジタル専用じゃないんですよね。むしろ、リアルとデジタルを組み合わせた方が効果的だったりする。
実際、街で見かける成功している有形商品ビジネスって、知らず知らずのうちにDRM的な手法を使ってることが多いんです。次でその具体例を見てみましょう。
街で見かけるDRMの成功事例3選
ここが今日の核心部分。「実はこれもDRMだった」という事例を3つ紹介します。
1. カルディ:小売業の巧妙な顧客誘導術

カルディコーヒーファームの試飲サービス、単なる親切だと思ってませんか?
実はこれ、教科書的なDRM設計なんです。
カルディのDRM構造分解
ステップ1:フリーオファー(無料試飲)
店頭でコーヒーの無料試飲を提供。これがリード獲得の入り口。
ステップ2:物理的な店内誘導
巧妙なのがゴミ箱の配置。店内にゴミ箱があるから、必然的に店内に入ることになる。
ステップ3:滞在時間の確保
配るのは「熱いコーヒー」。一気に飲めないから、自然と店内を歩き回ることになる。
ステップ4:教育・啓蒙フェーズ
コーヒーを飲みながら商品を見ているうちに、「あ、こんなのあるんだ!」「これ面白い!」という発見がある。これが教育フェーズ。
ステップ5:自然なコンバージョン
発見による購買意欲の向上→「せっかくだから買ってみようかな」
この一連の流れ、完全にDRMの教科書通りじゃないですか。しかも、多くのお客さんは「親切な試飲サービス」だと思ってる。売り込まれている感覚がゼロ。これがDRMの真骨頂です。
数字で見るカルディの効果
- 店舗数:501店舗(2024年12月現在)
- 年間売上:987億円(2024年8月期)
- 1店舗あたり平均売上:約1.97億円
試飲サービスがどれだけ売上に貢献しているかは公表されてませんが、この数字を見る限り、相当な効果があることは間違いないでしょう。
1店舗で年間約2億円の売上を達成している背景には、巧妙に設計されたDRM戦略があると考えられます。
2. 東進ハイスクール:教育業界の王道DRM

予備校って無形サービスですが、東進の無料模試は完璧なDRM設計です。
東進のDRM構造分解
ステップ1:強力なフリーオファー
全国統一高校生テスト(無料模試)。本来なら有料級の価値を無料提供。
ステップ2:詳細な見込み客情報収集
模試受験時に取得する情報は:
- 名前、連絡先
- 現在の学力レベル
- 志望校、志望学部
- 弱点分野の詳細データ
ステップ3:問題の明確化
模試結果で現実を突きつける。「志望校合格まで、これだけ足りない」という危機感を醸成。
ステップ4:解決策の提示
東進の指導法、合格実績を紹介。「希望」を見せる段階。
ステップ5:信頼構築
無料で価値提供したことで、「この予備校、本気で応援してくれる」という信頼を獲得。
ステップ6:個別アプローチ
取得したデータに基づく個別面談。一人ひとりの状況に合わせた入塾提案。
そして東進が本当に巧妙なのは、ここから先です。
特に優秀な学生(決勝大会上位者)には、年間最大10名に総額40万ドル(約6,000万円)の海外大学留学支援を実施。一見すると大きなコストですが、これは実は「実績投資」。支援した学生がハーバード、MIT、スタンフォード、オックスフォードに進学すれば、「東進からハーバード大学○名合格!」という実績が手に入る。
この実績が永続的な集客装置として機能し、さらに多くの優秀な学生と保護者を引きつける。つまり、6,000万円の投資が何倍ものリターンを生む仕組み。これぞ「実績DRM」の完成形です。
数字で見る東進の効果(推定含む)
- 全国統一高校生テスト受験者数:年間数十万人(推定)
- 決勝大会参加者:年間200名(高3上位100名、高2・高1上位各50名)
- 海外大学留学支援:年間最大10名、1人当たり6,000万円給付
- 全国校舎数:約1,000校舎
無料模試から始まって、最終的には世界トップ大学への進学実績まで計算に入れたDRM設計。これだけ長期的かつ戦略的なアプローチは、他業界でも参考になる事例だと思います。
3. 化粧品サンプル:小売業の継続的関係構築

デパートの化粧品カウンター、行ったことありますか?あそこで行われているのも、立派なDRMです。
化粧品サンプルのDRM構造分解
ステップ1:フリーオファー(無料サンプル)
「お試しサイズ、いかがですか?」から始まる接客。
ステップ2:詳細な顧客情報収集
サンプル提供時に取得する情報:
- 名前、連絡先
- 肌質、肌の悩み
- 普段使っている化粧品ブランド
- 予算感
ステップ3:使用体験の提供
実際に商品を試してもらい、効果を体感してもらう。
ステップ4:フォローアップ
数日後、「いかがでしたか?」の電話やメール。使用感をヒアリング。
ステップ5:個別提案
肌質や悩みに合わせた商品ラインナップの提案。「あなたにはこれが合いそうです」
ステップ6:継続的な関係構築
購入後も定期的なフォロー。新商品情報の提供、季節に応じたスキンケアアドバイス。
数字で見る化粧品業界の効果
- 日本の化粧品市場規模:約2.6兆円(2023年)
- 百貨店化粧品売上:約4,000億円
- 対面販売による成約率:20-30%(店頭接客なしの場合は5-10%)
対面でのサンプル提供→個別提案の効果は歴然。成約率が3-6倍になるというデータもあります。
今すぐできる有形商品DRM実践法

さて、ここまで読んで「面白いけど、うちには応用できるのかな?」と思った方向けに、実践的なアドバイスを。
基本の4ステップ
ステップ1:フリーオファーの設計
あなたの商品に関連した、無料で提供できる価値は何ですか?
- 製造業:工場見学、技術資料、サンプル品
- 飲食業:試食、レシピ提供、料理教室
- 小売業:限定商品の先行案内、メンテナンスサービス
- サービス業:無料診断、お試し体験、相談会
ポイントは「欲しい人が多くて、あなたが提供しやすいもの」を選ぶこと。
ステップ2:連絡先取得の仕組み作り
フリーオファーと引き換えに、お客さんの連絡先を取得する仕組みを作りましょう。
デジタル手法:
- ランディングページ作成
- QRコード活用
- SNS登録
アナログ手法:
- 申込書記入
- 名刺交換
- 会員登録
重要なのは、お客さんにとって「連絡先を教えても良い」と思える価値を提供すること。
ステップ3:関係構築のためのコミュニケーション設計
連絡先を取得したら、定期的にコミュニケーションを取る仕組みを作りましょう。
- メルマガ配信
- LINE公式アカウント
- DMやハガキ
- 電話フォロー
内容は売り込みではなく、価値提供中心に。業界情報、使い方のコツ、メンテナンス方法など。
ステップ4:適切なタイミングでの提案
十分な関係が構築できたタイミングで、商品・サービスを提案しましょう。
ポイントは「押し売り」ではなく「提案」であること。お客さんの課題に対する解決策として提示する。
業界別応用例
製造業の場合
例:精密部品メーカー
- フリーオファー:技術資料集、工場見学
- 関係構築:月次の技術情報メルマガ
- 提案:新製品情報、カスタマイズ対応
小売業の場合
例:家電量販店
- フリーオファー:無料設定サービス、操作説明
- 関係構築:季節ごとのメンテナンス案内
- 提案:買い替え提案、周辺機器の紹介
飲食業の場合
例:レストラン
- フリーオファー:シェフの料理教室、レシピ提供
- 関係構築:季節メニューの先行案内
- 提案:記念日ディナー、ケータリングサービス
デジタル×アナログの効果的な組み合わせ
現代のDRMで重要なのは、デジタルとアナログを組み合わせること。
デジタルの長所
- 低コストで大量配信可能
- 効果測定が容易
- 個別対応の自動化
アナログの長所
- 温かみがある
- 印象に残りやすい
- 差別化しやすい
例えば:
- デジタル(メール)で情報提供
- アナログ(手書きハガキ)で特別感演出
- デジタル(オンライン)で注文受付
- アナログ(対面)で商品説明
この組み合わせで、効率性と人間味の両方を実現できます。
DRM導入で陥りがちな3つの罠と対策

最後に、DRMを導入する際に多くの企業が陥る罠と、その対策をお伝えします。
罠1:「売り込み」モードになってしまう
よくある失敗パターン
連絡先を取得した途端、毎日のように商品案内のメールを送る。結果、配信停止やブロックされる。
対策
8:2の法則を守る。10回コミュニケーションを取るなら、8回は価値提供、2回だけ商品案内。
価値提供の例:
- 業界の最新情報
- 商品の上手な使い方
- メンテナンス方法
- お客様の成功事例
例:工具メーカーA社
月4回のメルマガのうち、3回は「今月の使い方のコツ」「DIYアイデア」「安全な使用法」を配信。1回だけ新商品案内。結果、配信停止率は5%以下、購入率は15%を維持。
罠2:一方通行のコミュニケーション
よくある失敗パターン
メルマガやDMを一方的に送るだけで、お客さんからの反応を求めない。結果、関係が深まらない。
対策
必ず「返信を促す仕組み」を作る。
具体的な方法:
- アンケート実施
- 質問コーナー設置
- 写真コンテスト開催
- お客様の声募集
例:家具メーカーB社
毎月のメルマガで「今月の素敵なお部屋写真」を募集。応募者には小さなインテリア雑貨をプレゼント。お客さんの写真と感想をWebサイトで紹介することで、コミュニティが形成され、リピート率が30%向上。
罠3:短期的な成果を期待しすぎる
よくある失敗パターン
「1ヶ月やったけど売上が上がらない」と早々に諦めてしまう。
対策
DRMは中長期戦略。最低6ヶ月は継続する覚悟で始める。
目安となる期間:
- 1-2ヶ月目:仕組み構築、基本の価値提供
- 3-4ヶ月目:お客さんとの関係構築
- 5-6ヶ月目:初回購入につながる提案
- 7-12ヶ月目:リピート購入、紹介獲得
例:食品メーカーC社
地方の小規模メーカー。最初の3ヶ月は売上ゼロ。でも、レシピ提供や食材の豆知識で価値提供を継続。4ヶ月目から徐々に注文が入り始め、1年後には月商が200%増加。
成功のための3つのポイント
- 長期的視点を持つ:すぐに結果を求めず、関係構築に時間をかける
- 価値提供を優先する:売り込みより、お客さんの役に立つ情報を優先
- 継続的な改善:数字を見ながら、常にアプローチを改善していく
まとめ:DRMは「手法」じゃなくて「姿勢」の問題
さて、ここまで読んでいただいて、いかがでしたか?
カルディの試飲、東進の無料模試、化粧品のサンプル配布…これらを見ていると、DRMって別に特別な手法じゃないことがわかりますよね。
結局、DRMの本質って何かというと、「お客さんとの関係を大切にする姿勢」なんです。
従来の「売ったら終わり」から「売ってからが始まり」への発想転換。
「商品を売る」から「お客さんの課題を解決する」への視点変更。
「一回限りの取引」から「長期的な関係構築」への戦略シフト。
有形商品だろうが無形サービスだろうが、この本質は変わりません。むしろ、有形商品の方が「実際に手に取って確かめられる」「使用後の満足度が高い」「口コミで広がりやすい」というDRMに有利な特性を持っています。
今日から始められる小さな一歩
この記事を読んで「面白そうだな」と思った方は、まず小さく始めてみてください。
- 既存のお客さんに「今後も役立つ情報をお送りしたいのですが、メールアドレスを教えてもらえますか?」と聞いてみる
- 商品購入後に「使い方のコツ」を教える仕組みを作る
- お客さんから質問が来たときに、「同じような質問をよくいただくので、まとめて情報発信しますね」と応える
小さな一歩から始まる関係構築が、やがて大きな成果につながっていくはずです。
そして最後に一言。
「DRMができない理由を探すより、DRMを始める理由を見つける方が、よっぽど建設的だと思うんですよね。だって、お客さんと仲良くなって困ることって、ありますか?」
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