起業が難しいのは問題を巨大な塊として放置する思考罠。問題を分解して逆算目標に落とし、スキル・マインドセット・環境の3視点で対策を立てる。デカルト・CBT・マクドナルドの事例と具体的な分解法で、小さく始め段階的にスケールする実践を解説する。今日から実践できる具体的手順も紹介。
- 問題を分解して具体的な課題と対策を特定する
- スキル・マインドセット・環境の3視点で原因を分類する
- 小さく始めて段階的に改善・拡大する実践を推奨
こんにちは、Room8オーナーの鶴田です!
先日うちのコワーキングスペースで、ある起業家の方が「どうやったら売上あがりますか?」って相談してきたんですよ。で、僕が「何が一番の問題だと思います?」って聞いたら、「わからないです、とにかく頑張ってるんですけどね」って。
いやいや、ちょっと待てよと(笑)。
昨日も別の方が「SNS得意な人いませんか?」って相談してきました。きっと「SNSをやると良いって聞いたけど、自分には知識もスキルもないから、得意な人に任せよう」って発想なんでしょうね。
これ、どちらも全く同じ問題なんです。
問題をごちゃごちゃのまま、大きな塊として扱っている。
これって実は、駆け出し起業家の多くがハマってる「思考の罠」なんです。問題をごちゃごちゃのまま、大きな塊として捉えてしまう。そして極端で非現実的な解決策にしか辿り着けない。
今日は、心理学や経営学の研究も交えながら、なぜ問題を「分ける」ことが起業成功の鍵なのか、そして具体的にどうやって分けるのかについて話します。
「売上が上がらない」をそのまま放置する人たち
まず「売上が上がらない」って相談、これ実は情報が全然足りてないんですよね。
本来なら分解すべき要素:
- 新規客が取れないのか?
- 既存客のリピートがないのか?
- 単価が低すぎるのか?
- 認知が足りないのか?
- 商品/サービス自体に問題があるのか?
- マーケティングの問題か?
- 営業プロセスの問題か?
でも「売上が上がらない」の一言で終わり。これじゃあ解決策も「もっと営業」「とにかく行動」みたいな極端で表面的なものしか出てこない。
同じく「SNS得意な人いませんか?」も問題です。
そもそも何を達成したいのか?売上アップなのか、認知度向上なのか、新規顧客獲得なのか。ターゲットは誰なのか。その人たちにリーチするのに本当にSNSが最適なのか。
手段(SNS)が目的化してしまって、本来解決すべき問題が曖昧なまま。
これを僕は「巨大問題放置症候群」と呼んでます(勝手に命名)。
なぜ人間は「分ける」のが苦手なのか
構造化された環境から自由度の高い環境への変化
この認知バイアスが特に問題になるのは、環境が大きく変わったときです。
これまで構造化された環境にいた人が、いきなり自由度の高い環境に放り込まれると、脳は混乱します。今まで「与えられた課題を解く」ことに特化していた思考回路が、「問題を自分で発見して分解する」ことを求められる。
例えば、これまでは:
「来四半期の売上目標○○達成のために、A案とB案を検討してください」
「新商品のマーケティング戦略で、SNS活用案を3つ提案してください」
みたいに、大きな問題がある程度分解された状態で降りてきていた。
でも起業すると、いきなり「売上が上がらない」「集客できない」「資金が足りない」っていう巨大で曖昧な問題がドンと目の前に現れる。しかも誰も分解してくれない。
巨大な問題 vs 管理可能な要素
人間って、大きすぎる問題に直面すると思考停止しちゃうんです。これ、脳科学的には当然の反応。
原始時代なら「ライオンが来た→逃げろ」で済んだけれど、現代のビジネス問題は複雑すぎる。でも脳は相変わらず単純な反応を求めてくる。
だから「売上が悪い→とにかく営業」「集客したい→SNS得意な人探し」みたいな短絡的思考になっちゃう。
でも、巨大な問題を管理可能な小さな要素に分けると、急に解決策が見えてくる。
例えば「売上が上がらない」を分解すると:
- 新規客が取れない → そもそも知られていないのか、商品の魅力が伝わっていないのか、値段が高すぎる(安すぎる)のか
- リピートしない → 商品の質が悪いのか、期待と違ったのか、その後のフォローがないのか
- 単価が低い → 安く売りすぎているのか、高く売れる価値を伝えられていないのか
新規客が取れないと言っても、色々な原因がありますよね。このように細分化していけば、それぞれの具体的な対策が見えてきます。
科学が証明した「分ける力」の威力
400年前から変わらない成功の原則
ルネ・デカルト、あの「我思う、ゆえに我あり」の人の『方法序説』に、こんな一節があります:
「困難はできるだけ分割せよ」
これ、17世紀の話ですよ。400年前から「分ける力」の重要性は変わってない。
マクドナルドの革命的システム化
現代の実例で僕が一番好きなのは、マクドナルドのシステム化です。
普通のハンバーガー店だったら「ハンバーガーを早く作ろう」→ 料理人がもっと手早く作る練習をする、みたいな発想になりがち。
でもマクドナルドの創業者は違った:
- 目的設定: ハンバーガーを早く提供する
- 要素分解: 「ハンバーガー作り」を材料準備・調理時間・盛り付け・サービスに分割
- 各工程を最適化: それぞれの工程で最適な手順とタイミングを設計
- システム化: 誰でも同じスピードで作れるマニュアル化
結果、個人の技術に頼らず、システムの力で劇的にスピードアップを実現した。
一つの巨大な問題(早く作る)が、管理可能な小さな要素に分かれることで、革新的な解決策が生まれた。
これ、まさに起業家が学ぶべき問題解決プロセスですよね。
現代の心理学が裏付ける「分ける効果」
ハーバード大学医学部のリサ・フェルドマン・バレット教授の研究で、「感情の粒度(emotional granularity)」という概念があります。
これは感情を細かく言語化できる能力のことで、バレット教授の研究によると、感情の粒度が高い人ほど:
- セルフコントロール能力が高い
- ストレス耐性が強い
- 問題解決能力が高い
ことがわかっています。
「なんとなく調子悪い」ではなく「集中力が続かない」「眠気が強い」「タスクに圧倒されている」と細分化できる人の方が、それぞれに適した対処法を見つけられるんです。
また、問題解決の専門研究でも「問題解決の上手い人は、問題を分ける、分解する、細分化している」ことが明らかになっています。細分化が進むほど問題解決がスムーズになるんです。
問題を分解する実践法:目標から逆算して課題を特定する
理論はわかった。じゃあ具体的にどうやって分けるか。
「月収100万」は目標じゃない、ただの願望
Room8でよく聞く相談で「月収100万目指してます」って言葉。でも「なぜ100万?」って聞くと、「なんとなくカッコいいから」「僕ならできるでしょ」みたいな答えが返ってくる。
これ、目標じゃなくて願望なんです。本当の目標設定は逆算から始まります。
目標の逆算分解:
月収100万を目指すなら:
- 平均単価20万のサービス → 5件契約必要
- 成約率10%なら → 50人の問い合わせ必要
このように目標を数値分解すると、課題が見えてきます。
現実との比較で課題を特定:
現状把握してみると:
- 実際は月5人しか問い合わせが来ない
- 実際の成約率は2%
課題が明確になる:
- 問い合わせ数の課題(5人 → 50人にする方法)
- 成約率の課題(2% → 10%にする方法)
同じ課題でも原因は人それぞれ
「月10人の問い合わせ獲得」という課題でも、実際の問題は人によって全然違います。
Aさんの場合:「連絡先がない」
- 分類:リソース(人脈)の問題
- 対策:SNS発信、紹介依頼、イベント参加
Bさんの場合:「営業が怖い」
- 分類:メンタルの問題
- 対策:小さく始める、練習、成功体験積み上げ
Cさんの場合:「やり方がわからない」
- 分類:スキル・知識の問題
- 対策:営業手法の学習、先輩へのヒアリング
課題分離の3つの視点
どんな問題も、この3つで分けて考えてみてください:
- スキル・知識:「やり方がわからない」
- メンタル・マインドセット:「怖い」「自信がない」
- 環境・リソース:「時間がない」「お金がない」「人脈がない」
実際の分解事例
相談:「Web集客がうまくいかない」
逆算分解:
- 目標:月10件の問い合わせ
- 必要PV:月1000PV(問い合わせ率1%想定)
- 現状:月200PV、問い合わせ率0.2%
課題特定:
- 課題①:PV不足(200 → 1000)
- 課題②:問い合わせ率の低さ(0.2% → 1%)
個別の課題分離:
- スキル問題:SEOのやり方がわからない
- リソース問題:記事書く時間がない
- メンタル問題:「自分の文章で集客できるの?」という不安
この分解ができると、「Web集客頑張る!」という曖昧な行動から、「まずSEOを学んで、週2記事書けるスケジュール作って、不安解消のために小さなテストから始める」という具体的な行動計画に変わります。
「目標を下げるなんて…」という心理的抵抗を乗り越える
でも、現実的な目標設定をしようとすると、多くの人が抵抗します。
「20万なんて小さすぎる」と思ってしまう心理
「いや、僕は100万目指してるんで。20万とか小さすぎません?」
「目標下げたら、なんか自分がしょぼい人間になった気がして…」
これって「月収20万目標の自分」= しょぼい人間、「月収100万目標の自分」= すごい人間って勝手に価値判断しちゃってるんですよね。
でも実際は:
- 月収20万を確実に仕組み化できる人 → めちゃくちゃ価値高い
- 月収100万目標でずっと0円の人 → 結果的に価値ゼロ
「小さく始める」のは謙虚さじゃなくて戦略
Amazonのジェフ・ベゾスも最初は本だけ。
Facebookのザッカーバーグも最初は大学内だけ。
彼らが「しょぼい」スタートしたのは、謙虚だからじゃなくて、小さく始めて確実に仕組みを作ってからスケールする方が結果的に大きくなるって知ってたから。
段階的に「見える世界」が広がっていく
小さく始める本当の価値はここにあります。
1万円達成すると:
「あー、こうやれば収益って生まれるんだ」→ 2万円の具体的なやり方が見える
2万円達成すると:
「この仕組みを5倍にすれば…」→ 10万円のイメージが湧く
10万円達成すると:
「単価上げるか、件数増やすか、リピート仕組み作るか」→ 50万円の戦略が見える
50万円達成すると:
「この規模感なら人も雇えるし、ツールも導入できるし…」→ 100万円の道筋が現実的に見える
いきなり100万は「真っ暗闇」
でも最初から100万目標だと:
「え、どうやって?」「何から始めればいいの?」「100万円稼ぐ人って何してるの?」
全部が漠然としすぎて、具体的な行動が見えない。
月収0円の人に「月収100万の稼ぎ方」を説明されても、ピンとこないんです。でも月収10万の人なら「あー、これを10倍にするには…」って具体的に考えられる。
実体験がないと想像できないんです。
Room8でも「階段上り」の人は強い
「最初月3万からスタートして、今月30万です」って人と、「ずっと100万目指してるけど、まだ0円で…」って人だと、前者の方が絶対に次のレベル行きます。
小さな成功体験の積み重ねが、確実に大きな成功につながる。これが現実です。
僕がRoom8で見てきた「変わった人たち」の共通点
Room8を運営していて、「あ、この人変わったな」って瞬間があるんです。
Before → Afterの典型例
Beforeの相談:
「マーケティングがうまくいかないんです」
After数ヶ月の相談:
「Instagram集客で、投稿のエンゲージメント率が1.2%で業界平均より低い。30代女性向けの美容サービスなので、もう少しストーリー性のあるコンテンツに変えようと思うんですが、参考になる事例ご存知ですか?」
全然違いますよね。後者なら、僕も具体的にアドバイスできるし、本人も次にやるべきことが明確。
変わった人の3つの習慣
- 数字で話す: 「なんとなく調子悪い」→「先月比20%ダウン」
- 要素に分ける: 「売上が悪い」→「新規・既存・単価・リピート」で分析
- 仮説を持つ: 「なんでだろう」→「たぶん○○が原因だと思うので××を試してみる」
この習慣が身につくと、問題解決のスピードが劇的に上がります。
認知行動療法で実証された効果
厚生労働省も推奨している認知行動療法では、「問題解決技法」として以下の5ステップが確立されています:
- 問題の整理・把握
- 現実的に達成可能な目標設定
- 解決策をできるだけ多く出す
- より良い解決策を選択
- 実行して振り返り
この手法は、うつ病や不安障害の治療だけでなく、ビジネスの問題解決にも広く応用され、効果が実証されています。
今日から始められる「分ける習慣」
朝の5分間ルーティン:
- 昨日の問題を3つの要素に分ける
- 今日のタスクを緊急性×重要性で分ける
- 自分の気分を具体的に言語化する
夜の10分間振り返り:
- うまくいかなかったことを3つの視点(スキル・メンタル・リソース)で分解
- うまくいったことの成功要因を特定
- 明日改善したい問題を一つ決める
これだけで、巨大問題を管理可能な要素に分解する思考習慣が身につきます。
まとめ:問題を分けることから全てが始まる
ここまで読んでくれた皆さん、お疲れさまでした。
今日の核心メッセージ:
起業家がうまくいかない最大の理由は、「問題をごちゃごちゃのまま解決しようとする」こと。
「売上が上がらない」「SNS得意な人いませんか?」みたいな巨大で曖昧な問題を、そのまま放置してしまう。
でも解決策は明確です:
- 目標を数値で分解する(月収100万 → 5件契約 → 50人問い合わせ)
- 現実とのギャップで課題を特定する(スキル・メンタル・リソースの3視点)
- 小さく始めて段階的にスケールする(20万 → 50万 → 100万)
デカルトが400年前に言った通り、「困難は分割せよ」。現代の心理学も、認知行動療法も、感情の粒度研究も、すべて分解型思考の有効性を証明している。
明日から、いや今日から始めてください。
「SNS得意な人いませんか?」じゃなくて「Instagram集客で月10件問い合わせ取りたいんですが、エンゲージメント率1.2%をどう改善すれば?」って具体的に聞くところから。
問題を分ける力を身につけて、一緒に成功していきましょう。
