起業は華やかな夢より地味で孤独な日々が続く現実で、やりたいことの情熱だけでは続かず、誰に何を届けるか、資金の動きはどこから来るかといった現実的要素を軸に計画を練る必要がある
- 誰に届ける価値かを前提に資金の動きを設計する
- 続けるには地味な作業と芯の強さが必須になる
- オーセンティックな信念を軸にブレずに進む
- Room8は2014年開業
- AIは2025年時点で多様な作業を補助
こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です。
最近「起業するなら今なのか?」って相談が増えてます。たしかに、AIだ副業解禁だって、社会はどこか“起業を後押ししてますよ”みたいな雰囲気を出してくる。でもね、雰囲気で会社作って、数ヶ月で音沙汰がなくなる人も山ほどいる。それが現実。
起業って、思ったより華やかじゃないし、思った以上に地味です。夢とかビジョンを語ってた人が、数ヶ月後には売上ゼロとにらめっこしてる。SNSの「起業しました!」の投稿と、その後に待ってる現実はまったく別物です。
それでも、やる人はやる。
だから今日は、「起業するなら」「今、起業するなら」という視点で、ちゃんと始める前に知っておいてほしいことをまとめてみます。
僕も起業して11年、まだまだひよっこです。
でも、現場で見てきたこと、感じてきたことの中に、これから動く人のヒントになりそうなことは少しあるかもしれません。そんな気持ちで書いてます。
起業する「なら」の大前提

「やりたいこと」だけでは続かない
「好きなことを仕事にできたら、人生勝ち組」みたいな空気、ありますよね。
でも、起業の現場を見ていると、“好きなことを仕事にした人”ほど、好きじゃなくなって辞めていく場面によく出くわします。
たとえば、趣味で始めたカフェ。オープンして3ヶ月で「数字が合わない」「SNSも全然伸びない」「想像と違った」と言って閉じる。
これ、めずらしくない話です。
なぜか?
「やりたい」はあるけど「求められているかどうか」をちゃんと見てないから。
「自分が出したいサービス」じゃなく「相手が求めてる価値」を提供できてない。
だからこそ起業では、“やりたいこと”はむしろ最後に確認するぐらいでちょうどいい。
最初に考えるべきは「誰が欲しがるのか?」「お金はどこから動くのか?」っていう、地に足のついた問いです。
始めるよりも、続ける方がしんどい
起業って、スタートの瞬間がいちばん盛り上がるんです。
決断して、届け出出して、名刺作って、サイト立ち上げて、SNSに「始めました!」って投稿して。
あの高揚感は確かにある。
でも、本当の勝負はそのあと。
何をやっても無風な日が続いて、毎日アクセス数を見ては溜息をつく。
問い合わせゼロ、売上ゼロ、それでも家賃は発生する。
そんな地味な日々を、いかに乗り切るか。
始めるのは勢いでもできます。でも続けるには、地味で孤独な作業に耐える筋力が必要になる。
SNSのフォロワーも最初は友人知人。でもそこから先、誰も来てくれない時期がある。
あの時、「なんでこれ始めたんだっけ?」って、自分の中の芯がグラつく瞬間が来るんですよ。
そこを超えるには、最初のテンションじゃなくて、地に埋まってる“芯”の強さが必要です。
起業にも必要な“オーセンティック”さ
最近よく耳にする「オーセンティック」って言葉。
僕はこれ、起業にもめちゃくちゃ大事だと思ってます。
オーセンティックって、“本物っぽさ”とか“こだわり感”みたいな曖昧なものじゃない。
もっと本質的なもので、「自分はなぜこれをやるのか?」っていう信念や理念が芯にあるかどうかです。
たとえばまちづくりの現場でも、他地域の成功事例をコピーしてもうまくいかないケースって山ほどあるんですよね。
人も歴史も文化も違うのに、外側の仕組みだけ持ってきても、しばらくすれば崩れる。
なぜなら、そこに「この地域でこれをやる意味」が無いから。
起業も同じです。
「それっぽくやってみたけど、本音ではそこまで強い想いはなかった」って人は、壁にぶつかったとき簡単に折れる。
逆にオーセンティックな人は、うまくいかないときに「なぜこれをやっているのか?」に立ち返れる。
それがあるから、ブレずに次の手を打てる。
つまり、カッコいい肩書きとか、見栄えのいいブランドじゃなくて、自分の中にどれだけ“根”があるかどうかなんです。
それが起業の土台になります。
「どうしてもやりたい」人だけが壁を越える
「補助金がもらえたら」「融資が通れば」って話、よく聞きます。
でも実際は、そこまでで止まる人が多い。
たぶんそれは、「できるならやりたい」レベルの話なんだと思います。
僕の場合はちょっと違っていて、「やりたいことがある、でも足りない。じゃあどう埋めるか」というだけの話でした。
コワーキングスペースを始めたくて、自己資金も用意したし、融資も受けた。
でも、それでもまだ足りなかった。
で、どうしたかというと、車とハーレーを売った。
ただそれだけです。特別な覚悟があったわけでも、派手なドラマがあったわけでもない。
“やるには何が必要か”を考えたら、そこに行き着いただけ。自然に。必然的に。
車は他にもあったし、毎日乗る必要もなかった。
春日井なら、公共交通もある。自転車で行けるところは自転車でいい。
ツーリングなんて、夢のためならどうでもよかった。
「そこまでしてもやりたい」っていうより、それくらい普通にするよね、って感覚でした。
ちなみに、親父にも頭を下げました(笑)。
それも別に恥ずかしいことじゃなくて、「そういう時期だった」というだけ。
起業って、よく“覚悟”とか“情熱”みたいな言葉で語られるけど、僕にとってはもう少し静かなものだったと思ってます。
やりたいことがあって、それを形にするには何が必要か。
ただその計算を、現実的にやっていっただけのことなんですよね。
「起業したい人」と「起業する理由がある人」の違い
僕が起業した頃から、よく相談されてきたんですよね。
「起業したいんです」って。
でも、そのあとに続く言葉が「何か自分でやってみたくて」とか「自由に働きたい」とか。
もちろん、その気持ちは否定しません。僕にもありました。
ただ、その動機だけでやろうとすると、たいてい途中で迷子になります。
起業の目的が「会社辞めたい」になってるとき、
いざ辞めたあとに「で、何やるんだっけ…?」ってなる。これは本当によくあるパターンです。
稼ぎたい・自由になりたい・かっこよくなりたい。
それが入り口でもいいけど、事業のゴールはそこじゃない。
結局は、誰かに価値を届けて、それに対価をもらうこと。
そこがブレると、やることもブレる。発信もブレる。集客も迷走する。
だからこそ、最初にちゃんと考えたほうがいい。
「自分は何を“どうしても”やりたいのか?」
そこが言語化できていないなら、まだ走らなくていいと思います。
起業って、想像以上にブレやすいし、疲れやすいから。
芯がないまま走り出すと、どこに向かってたかも分からなくなってしまう。
スタートラインに立つって、そういうことなんじゃないでしょうか。
今起業するなら押さえるべき環境要因(2025年版)

レッドオーシャンかブルーオーシャンか?どっちも、それぞれしんどい
「レッドオーシャンは競合が多いから避けたほうがいい」
「ブルーオーシャンは誰もやってないからチャンス」
起業界隈でよく聞く話です。
でも、僕の感覚としては――どっちを選んでも、結局それぞれにしんどさがあると思っています。
レッドオーシャンは、確かにニーズはある。お客さんはいる。
でもその分、価格競争・差別化・勝ち筋の消耗戦。
抜け道があっても、すでに何人もそこを狙っている状態です。
じゃあブルーオーシャンはどうか。
競合がいないってことは、一見チャンスに見えるかもしれない。
でも実際には、ニーズごと耕していく必要がある。むしろ“ないもの”を必要だと伝えていく作業です。
Room8を始めた2014年当時、春日井にはコワーキングスペースはゼロ。
全国でも350件に届くかどうか。しかも、そのほとんどが東京・大阪・名古屋に集中。
愛知では名古屋にいくつか、豊橋に1件。そこに、うちです。
当然、「あ、コワーキングね!」なんて反応は返ってきませんでした。
むしろ返ってきたのは――
「それって必要? 家で仕事すればよくない?」という声の方でした。
30万人の都市で、「待ってました、こういう場所欲しかったんです!」って言ってくれた人、たぶん5人くらい。
本当に、それくらいの世界から始まりました。
だから僕は思います。
ブルーオーシャンは、決して「ラクな道」なんかじゃない。
人に“必要ない”と思われているものを、必要だと伝え続ける覚悟がいる。
レッドオーシャンかブルーブルーかって、優劣じゃなくて、自分がどんな孤独や摩擦と向き合えるかの違いだと思うんです。
AIと自動化=コストも知識も圧縮できる
2025年の今、AIの進化はすごいことになってます。
事業アイデアの整理から、営業資料のたたき台、ロゴやチラシの作成、SNS投稿文の下書きまで、昔ならお金を払って外注していたことが、ある程度は自分でできてしまう。
これは正直、起業する側からしたらめちゃくちゃありがたいです。
知識ゼロ・スキルゼロでも、とりあえず一人で試作してみることができる。
以前なら資金やスキルの壁で諦めていた人も、今なら「とりあえずやってみる」ができる時代です。
ただ、誤解してはいけないのは、AIがやってくれる=うまくいく、ではないってこと。
出てきた案を選ぶのは自分だし、活かすも捨てるも自分次第。
AIは補助輪です。乗るのはあなた。ペダルをこぐのもあなた。
そして何より、AIは“何がしたいか”が決まってない人には、何も返してくれません。
「何をどうやりたいのか」がはっきりしている人にとっては、最高の相棒になりますが、
ふわっとしたままだと、それっぽいアウトプットに流されて終わります。
便利な時代だからこそ、自分の軸がないとあっという間に“量産型スカスカ事業”が出来上がってしまう。
AIが武器になるか、ノイズになるかは、こっち側の使い方次第です。
情報発信環境が整いすぎている
昔に比べて、情報発信のハードルは劇的に下がりました。
note、Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、TikTok…
お金も許可もいらず、今すぐにでも世界中に向けて発信ができる時代です。
起業初期って、お金も人手もない。広告にお金をかける余裕なんてほぼない。
でも今は、スマホ一つあれば最低限の発信はできる。
プロじゃなくても“伝え方を工夫すれば届く”という土俵が用意されているのは、ありがたい時代です。
ただ、これも便利な半面で、「誰でもできる=誰も見てくれない」リスクもセットでついてくる。
発信の手段はある。でも、その中でちゃんと読まれる・見られる・届くには、やっぱり試行錯誤が必要です。
よく「まずはnoteでも書いてみたら?」ってアドバイスされることがありますが、
本当に難しいのは“続けること”と“改善していくこと”なんですよね。
一回だけバズった投稿よりも、地味でも定期的に発信してる人の方が信頼される。
これは現場を見ているとよく分かります。
情報発信って、もう「やるかやらないか」じゃない。
どうやるか、どう続けるか、どう届かせるか。
この時代に起業するなら、ここは避けて通れない道だと思ってます。
補助金・支援制度が豊富(でも迷路)
「起業したいんですが、お金が…」
これは本当によく聞く悩みです。
実際、資金の不安が一番大きいハードルになるのは間違いない。
その点で言うと、日本は意外と恵まれていて、小規模事業者向けの補助金や創業融資、自治体の支援制度はかなり豊富なんですよね。
探せばいろんな選択肢があるのは事実です。
でも、僕はあまり「補助金ありき」で考えるのはオススメしてません。
なぜなら、補助金には条件がありすぎて、事業そのものをねじ曲げてしまうケースが多いから。
申請できる期間が決まっていて、採択の結果が出るのは2〜3ヶ月後。
しかも使えるものと使えないものがあって、「補助金が通らないと始められない」なんて状態になると、スタートすら遅れる。
結果、事業の方を補助金に合わせにいってしまって、やりたいことがぼやけるんです。
実際、それで失敗する人も少なくない。
もちろん、たまたまやりたいことと補助金の条件が一致するなら、活用すればいい。
でも基本は、事業に制度を合わせるんじゃなくて、制度が合えばラッキー程度に使う方が健全だと思います。
要するに、補助金は「起業の軸」にはならない。
あくまで「たまたまハマれば助かるオプション」くらいで考えておいた方がいい。
それくらいの距離感で付き合うのが現実的です。
FAQ
起業する際に最も重要なことは何ですか?
起業する際には、やりたいことよりも、誰が欲しがるのか、どこからお金が動くのかを考えることが重要です。起業を続けるために必要なものは何ですか?
起業を続けるには、地味で孤独な作業に耐える筋力と、自分の中にある強い芯が必要です。オーセンティックさとは何ですか?
オーセンティックさとは、自分がなぜそれをやるのかという信念や理念が芯にあることを指します。起業において補助金や融資はどのように考えるべきですか?
補助金や融資は手段の一つであり、やりたいことを実現するために何が必要かを考えることが重要です。起業の成功に必要な要素は何ですか?
起業の成功には、オーセンティックな信念と、地に足のついた計画が必要です。まとめ

起業って聞くと、なんか自由とかキラキラとか、自分らしくとか、そういう言葉が並びがちだけど。
実際の現場はもっと地味だし、もっと不便だし、もっと孤独です。
レッドオーシャンには競合がいる。ブルーオーシャンには説明が必要。
AIは便利だけど、目的が曖昧な人にとってはノイズにもなる。
補助金はありがたいけど、補助金に合わせて事業がブレたら本末転倒。
つまり、楽な道はどこにもないってことです。
じゃあ何があれば進めるのか。
たぶんそれは、「どうしてもやりたい」っていう静かな熱と、
「どうやったらできるか」をひたすら考える地味な思考力。
やるかやらないかじゃなく、やる前提でどう乗り越えるか。
そのスタンスがある人だけが、ようやくスタート地点に立てるのかもしれません。
